当ウェブサイトに出てくる専門用語の解説をまとめています。
用語 | 解説 | |
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あ行 | RNA-seq | 細胞の中のmRNAやmiRNAの配列を解読して、発現量の定量、新規転写配列を解析する手法。細胞内のRNAの絶対量を数えることができるようになる可能性がある |
遺伝子発現 | 遺伝子の働き、つまりRNA(またはタンパク)が合成されること | |
in-vitro | “ガラス(の中)で”という意味。試験管や培養器などの中でヒトや動物の組織を用いて、体内に似せた人工環境において薬物の反応を検出する試験のこと。対となるのはin vivo(イン・ビボ)、“生体内で(の)”。 | |
エクソーム | ヒトゲノム中の全エクソン領域(直接的にタンパク質の構造を決定している部分)の集合体のこと。エクソンを分断している領域はイントロンと呼ぶ | |
MPI (Message-Passing Interface) | MPI Forumが制定している、並列計算器における複数プロセス間での通信規格の名称。MPICHやOpenMPIがその代表的実装例 | |
fMRI | ヒトの脳の活動に関わる血流の動きを視覚化できる機能的核磁気共鳴画像法 (functional magnetic resonance imaging) | |
オミクス | 生物の体の中にある分子全体、特に、ゲノム、RNA、タンパク質、代謝物質などを網羅的に調べる研究分野 | |
か行 | グリッドエンジン | 1 台のマシン上で実行していたプログラムを、複数の計算機上で円滑に逐次実行することを可能にする管理ソフト |
ゲノム | 生物種にとって必要な遺伝子セット。ヒトの場合は23対46本の染色体のDNAに含まれるすべての遺伝情報を指す | |
Genomon | DNAやRNAのシーケンスデータからマッピングやデータ解析などを行い、遺伝子変異や融合遺伝子を見つけ出すプログラム群の総称 | |
コデザイン | ハードウエアとソフトウェアの設計を、開発の初期段階から協調して行うこと。開発期間短縮やシステム最適化を狙える | |
コンパイラ | 人間がある言語で書いたプログラムをコンピュータが理解できる機械語に一括翻訳すること。その後、プログラムを実行することになる | |
さ行 | サルコメア | 筋肉が収縮するための最小構造単位。2種類のタンパク質から成る |
SiGN (gene network estimation software) | DNAチップなどで得られる遺伝子発現データやタンパク発現データ、miRNAを含むnoncodingRNA発現データなどから細胞内分子の発現制御システムのモデル化・予測を行うスーパーコンピュータ用ソフトウェア群 | |
腫瘍内不均一性 | がんは、遺伝子が変異により細胞が異常増殖することによって生み出される。患者ごとにがんの原因となる遺伝子変異は異なることが知られているが、さらに一人の患者のがんの中にも異なる組み合わせの遺伝子変異を持つ細胞集団が存在することが明らかになっている。この現象は腫瘍内不均一性と呼ばれ、がんの治療抵抗性の一因であると考えられており、腫瘍内不均一性を生み出す原理の解明は、臨床的にも重要な問題である | |
ジョブ | コンピュータにさせる仕事の単位。一連のプログラム群 | |
シーケンス | DNAの場合、DNAを構成するヌクレオチド(A, T, C, G)の結合順序(塩基配列)を決定することをシーケンスするという。本研究で用いているイルミナ社の次世代シーケンサーでは、100文字程度の長さに断片化したDNA試料の配列を読み、コンピュータに出力する。RNAも同様にシーケンスできる | |
スクリーニング | 特定の障害の保有または発生リスク、あるいは特定の障害に関する遺伝子の保有リスクが高い個人を同定するために計画される遺伝学的検査。 ゲノム上にランダムに遺伝的な変異を導入させた後、それらの処理によってランダムに変異を持った生物集団に対して特定の表現型を示す個体を単離し、その個体がどのような遺伝子に変異を持っているかを同定する。それによりその表現型にかかわる遺伝子と特定できる | |
SV (Structural Variation:構造変異) | 染色体中に数百塩基から数百万塩基にわたる大規模な変化を伴う変異 | |
3'非翻訳領域 | メッセンジャーRNAにおいてタンパク質コーディング領域よりも下流にあって、タンパク質を生成させない領域 | |
た行 | データ同化 | 実測値を活用して、シミュレーションモデルから現実に近い解が得られるようモデルを改良すること |
転写産物 | RNAポリメラーゼによりゲノムDNAを鋳型として、DNAに相対する塩基で合成されたすべてのRNA | |
な行 | 二光子顕微鏡 | エネルギーの低い光を2回当てても、強いエネルギーの光で観察したのと同じように見える、生物にやさしい顕微鏡 |
ヌクレオチド | 窒素を含む塩基に結合した五炭糖に、1個あるいはそれ以上のリン酸基が結合したもの。DNAの場合、ヌクレオチドの糖はデオキシリボースで、塩基はアデニン、シトシン、グアニン、チミンのどれかである。 | |
ノンコーディングRNA | タンパク質をコードしない、つまりタンパク質へと翻訳される伝令RNA(messenger RNA, mRNA)を除く全てのRNAの総称であって、一部は最近発生、疾患との関わりが明らかになりつつある | |
は行 | バイオインフォマティクス | 生命について研究する際に、生命が持っている「情報」と言えるもの、例えば遺伝子やタンパク質の構造などを分析する分野 |
胚細胞バリアント | 生殖細胞(卵や精子)における遺伝子変異(バリアント)で、子孫の全ての細胞に組み込まれるもの。生殖細胞内のバリアントは親から子孫へと受け継がれる。生れてから何らかの原因でゲノムに入る変異の対語 | |
パイプライン | ある操作の結果が次の操作の入力になるようにハードやソフトを並べておく技術。操作が並行して行われているように見せることが出来る | |
python | インタープリター言語(1行ごとに逐次的に処理する言語)の一つ | |
非線形回帰 | 出力が入力の一次結合で表現できない場合を扱う統計学上の解析手法 | |
パーキンソン病 | 運動の調節を司る脳の大脳基底核の神経細胞が正常に働かなくなり、ドーパミンと呼ばれる神経伝達物質が減少することが原因の一つと考えられている脳神経疾患。パーキンソン病患者には、安静時のふるえ(振戦)、筋のこわばり(筋固縮)、動作緩慢、姿勢反射障害など、様々な運動症状が現れるが、その発生メカニズムは解明されていない | |
バーチャル・グリッドエンジン(VGE) | グリッドエンジンの搭載されていないスーパーコンピュータ上で、MPIを利用してグリッドエンジン機能を提供するために開発されたミドルウェア | |
標準ゲノム配列 | ヒトゲノムは核ゲノムとミトコンドリアゲノムから成る。ヒトゲノム計画は2003年に解読終了が宣言された。但し複数国複数人の情報から多数決的に決められたのであって、例えば日本人によく見られる構造多型の情報は、この国際参照配列には含まれないのではないかとも考えられている | |
PD-1 | (Programmed death-1) 腫瘍を攻撃する活性化T細胞の表面に現れる受容体タンパク質(別名:CD279) | |
PD-L1 | (PD-1 ligand 1) 抗原を提示している細胞、つまり腫瘍の表面上に発現しているタンパク質。PD-L1がPD-1に結合すると活性化T細胞の活動が抑制される | |
分子動力学MD (Molecular Dynamics) | 原子間ポテンシャルを定義して、多数の原子や分子の運動を解く方法 | |
ベイジアンネットワーク | 確率変数の定性的因果関係を矢印で結んだ図であり、変数間の定量的依存関係は条件付き確率で表現してある。本件では遺伝子とその発現量が確率変数とその値に相当する。静的モデルでは依存関係はサイクルを持たないが動的モデルでは可能である | |
ベイジアンネットワーク推定 | 遺伝子間の制御の因果関係を推定するために、遺伝子発現データなどを利用し、非線形回帰モデルなどと組み合わせベイジアンネットワークの構造を推定する手法。遺伝子ネットワーク推定に用いられる | |
ま行 | マイクロアレイ | 検査・実験対象物(例えばDNAやタンパク質)を多数固定して、相同性や反応を、検出したり定量したりする方法 |
ミドルウェア | OSとアプリの間に入るシステムのようなもののうち、データベース管理システムやトランザクションモニターのような、オペレーティングシステムの機能の拡張、あるいはアプリケーションソフトウェアの汎用的(共通的)な機能を集めたものを指す | |
免疫チェックポイント | 免疫過剰な攻撃を続けたり、正常な細胞を攻撃したりしないように抑制する体のチェック機構 | |
モジュール | ソフトウェアを構成する単位であって、ある一連の独立した機能を実現するプログラム部分。その部分だけで独立してコンパイル可能な単位であり、かつ再利用可能な単位 | |
ら行 | ライブラリ | 汎用性の高い複数のプログラムを再利用可能な形でひとまとまりにしたものだが、実行ファイルでない場合もある |
連成 | 同時に進行する複数の現象を解析するとき、必要な情報を相互に渡しながら進行させること |